振付家ゆっぴー 石橋剣舞を習う (その壱)



私は、ここ数年東北の芸能に心を奪われていて、そして、生まれたときから身の回りにそんなにかっこい芸能がある東北の人たちが心の底から羨ましくてしょうがないのです。地域に伝わるものは基本的には部外者には教えられることはない、そんな理由からも、本当に羨ましくてしょうがないのです。ジャズダンスや、ヒップホップのように近所のスクールに習いに行くことなんてできないし、そもそもそんな風に踊り(振り付け)だけを教わって習得できるものでもない。

でも、ある日九州に戻っていた私に前川さんから東北滞在中のスケジュールを知らせるメールが来ました。
なんとそこには「舞台作品いのちてんでんこのリサーチの為に石橋鎧剣舞を習わせて頂けることになったよ。例祭にも舞手として参加させて頂けるかも。」っという文字が!
ところが、実は手放しで喜べない私でした。やはりそこには、想像できない程のしきたりや、歴史、地元の人の想いがある、そこに習いに行く、しかも例祭にも参加させて頂くことになるかもしれない、というのは緊張を通り越して怖い、という気持ちが強くあったから、です。
とはいえ、やはり好き!が勝り、いいと言ってもらっているのだから本気で学びに行く!と学びに行かせて頂くことになるのでした。

習わせて頂くことになった石橋鎧剣舞は岩手県沿岸の大船渡市の山側「日頃市町」にある27世帯の小さな小さな石橋という集落で江戸時代の末期から脈々と受け継がれる剣舞です。昭和60年に大船渡市の無形民俗文化財に指定され、今は「七稚子」、「五ヶ棒」、「薙刀」、「捲き太刀」、「浪合わせ」、「回向」の六つの舞が毎年11月にある五葉神社の例祭や、芸能祭などで舞われています。

「回向(えこう)」というのは、もともとは初盆の家の庭で舞う弔いの舞で、一時期は途絶えていたものの今は復活されて秋の芸能祭などで舞われています。また、毎回の稽古で一番最初に舞うのも「回向」です。ちょっと他の演目とは違う位置づけになりますが、やはり弔いの舞というものは胸にずーんっときます。私の大好きな演目です。
他の演目は毎年例祭のときに1演目づつ順番に舞われます。
今年は「五ヶ棒」という演目です。



五ヶ棒は石橋鎧剣舞の人が言うには一番地味な演目とのことですが、その分どっしりと腰を落とし床を踏む動作や、棒を動かす所作、面の角度など基本をしっかりと動きに追われることなく(実際は追われてしまったのだけど、、、)学ぶことができ、この演目と年でよかったなーっと。

そして、いよいよ実際に稽古に参加させて頂く日が来ました!

文:ゆっぴ〜





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